どんな絵本?
1970年発行の、金魚トトが主人公のファンタジー絵本。
友だちを探して新しい世界へ飛び出していくトト。ハラハラドキドキ、勇気ももらえます。
大胆なストーリー展開にほんわかした雰囲気の絵がとても可愛い絵本です。
作品情報
作 :にしまきかやこ
出版社 :こぐま社
サイズ :20×21㎝
ページ数:30ページ
発行年 :1970年
税込価格:1,210円
こんな方におすすめ
・3歳から楽しめる絵本をさがしている方
・新しい世界への冒険の絵本をさがしている方
・可愛いけど刺激的な内容の絵本をさがしている方
・『わたしのワンピース』が好きな方
どんなおはなし?
金魚鉢の中でひとりで空を見いた金魚のトトは、金魚の形をした雲を見つけます。
「あの雲がきっとぼくの友だちだ」「空に行きたいなあ」と思っていると、トトの体が宙に浮きました。
小鳥が風船を体につけてくれたのです。それからトトの友だち探しの冒険が始まります。
さあ、友だちは見つけられるのでしょうか?
あさり目線
この絵本とは、もともと西巻茅子さんの「わたしのワンピース」が大好きだった私が、2019年に神奈川近代美術館で開催された「わたしのワンピース」50周年 西巻茅子展 に行ったときに出会いました。
読んでみて、ありえない大胆なストーリーにびっくり。だけど絵は相変わらずの可愛らしさ。
西巻茅子さんのファンタジーの世界が思う存分楽しめます!
すごい金魚
このトト、すごい金魚です。
だって空を飛ぶ、いえ泳ぐんですよ。冷静に考えたらありえない、、、
それに呼吸は?小鳥もどうやってトトに風船をつけたの?とか、つっこみどころが満載です。
空を泳ぐことができて、友だちを探しに新しい世界へ飛び出していくトト。けなげで勇気のあるトト、ほんとうにすごい金魚です!
がんばれトト!だけど悲しいまさかの展開
トトは友だちを探して空を泳いでいきます。そして金魚の形の雲を見つけ近づいていくのですが、雲は形を変えて真っ黒な雨雲になってしまいます。
それでも雨のなかを友だちを探してけなげに泳ぎ続けるトト。思わず「がんばれ!」と応援したくなります。
ところがなんと、雷に打たれて真っ逆さまに地面に落ちていくという衝撃の展開。
うー、悲しすぎる。トトどうなる!?
やっと出会えた友だち
落ちていくトト。気づけば池の中でした。ホッ、よかった、、
たくさんの魚たちが心配そうにトトの周りを取り囲んでいます。トトにたくさんの友だちができたのです。
トトが勇気を出して、友だち探しの冒険をしたからこのたくさんの友だちに出会えたんです。ほんと、よかったね、トト!
大胆なストーリーに可愛らしい絵
人によって感じ方は様々ですので、この『きんぎょのトトとそらのくも』のストーリーも「全然普通じゃん」と思われる方もいらしゃるかもれません。
ですが私はこの絵本のストーリーは結構大胆というか、ぶっ飛んでると感じました。
他にもナンセンス絵本とか、ファンタジーとか、ありえない設定の絵本はたくさんあるのですが、そう感じるのはなんなんでしょう?
実はうちに金魚がいるんですね。トトと同じ赤い金魚が。
この、うちの金魚が友だちが欲しくて赤い風船をつけて空に行っちゃうとか考えると、「おもしろいけど、いやぁ、ないでしょう」と思うのです。だからでしょうか?
でもうちの金魚が本当にそうしたいと言うのなら、行かせてあげるのもありかもしれません。
そしてトトは、けなげに友だち探しを頑張っているのに雨に降られ、雷に打たれて真っ逆さまになるのです。
なんて悲しすぎる展開ではありませんか?
この場面、お子さんも結構ショックを受けるのでは?。
最後はもちろんハッピーに終わりますが。
そしてこの大胆なストーリーに対し、西巻さんのクレヨンで描いたような、可愛らしくあどけない絵。
この絵だからこそ、よりトトのけなげさや勇気が伝わってくるのだと思います。
読み聞かせのポイント
・所要時間 約4分
・おすすめ年齢 3歳~小学校低学年
場面としては大きく分けて、4つあります。
金魚鉢のなか、空で友だちを探しているとき、雨・雷のなか、池のなか、の4つ。
状況の変化が大きいストーリーですので、この4つの場面に合わせて、少し声の調子を変えて読んだたほうがいいでしょう。
大げさに変える必要はありません。
途中、「かわいそう、どうなるの?」とハラハラドキドキしますが、読み終わったときお子さんと一緒に「トト、よかったね」とほのぼのとした気持ちになれるはず。
もしかしたらお子さんから「どうして金魚が空を泳げるの?」なんて質問があるかもしれません。
そのときみなさんなら何と答えるでしょうか?
大胆なストーリーに可愛らしい絵、新しい世界へ飛び出していくトトから勇気ももらえるこの絵本。
可愛らしいファンタジーが好きな方には特におすすめです!
『きんぎょのトトとそらのくも』の世界を、ぜひお子さんとご一緒にお楽しみください♪