海外の絵本 絵本 行事 4歳

『おじいちゃん』大好きなおじいちゃん、お別れしても忘れないよ

どんな絵本?

イギリスの絵本作家ジョン・バーニンガムの1985年発行の作品

1984年、文と絵が一体になったいい絵本に与えられるエミール/クルト・マッシュラー賞を受賞

訳は日本を代表する詩人の谷川俊太郎さん

おじいちゃんと孫娘が一緒に過ごす日常と老いることそして死についてが、優しくすがすがしく描かれた絵本です。

作品情報

作:ジョン・バーニンガム 訳:谷川俊太郎 

出版社 :ほるぷ出版

サイズ :23×28㎝

ページ数:32p

発行年 :1985年

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こんな方におすすめ

  • おじいちゃんがでてくる絵本をさがしている方
  • お別れ(死)について描かれている絵本をさがしている方
  • 海外の優れた絵本をさがしている方
  • 4・5歳からおすすめのの絵本をさがしている方

どんなおはなし?

おじいちゃんと孫娘。一緒に苗を育てたり、海に行ったり釣りに行ったり時には小さな喧嘩をしたりと楽しい日々を過ごしていました。

でもある日、おじいちゃんは具合が悪くなり外で遊べなくなってしまいます。

おじいちゃんの椅子をじっと見つめる孫娘。でもその椅子におじいちゃんが座ることは二度とありませんでした。。

あさり目線

祖父母と孫の関係

この絵本のなかのおじいちゃんと孫娘は、ほんとうに仲がいいですね。一年を通して一緒にいろいろな所へ出かけたり遊んだりしています。

世のおじいちゃんおばあちゃんと孫はこんなかんじなのでしょうか。

私自身、祖父母と一緒に遊んだ記憶はあまりありません。

私の娘たちも幼いころ、祖父母と会うのは年に一度か二度帰省したときと、あとは電話でたまに話すくらいでした。

そのためか娘たちと祖父母との関係は、この絵本のなかのおじいちゃんと孫娘のような「気楽で仲良し」の感じではなく、たまに会ってもお互い気を使っている感じ。

また娘たちは小学生の頃、周りの友だちからおじいちゃんやおばあちゃんと出かけたり遊んだり、運動会などの学校行事に来てくれたという話を聞いて、少しうらやましく思ったりもしたそうです。

でもこればかりは離れて暮らしているので仕方がないですね。あとはお互いの性格もあるのでは?と思ったりもします。

実は先日数年ぶりに娘たちと私の実家に帰省したのですが、娘たちは久しぶりに会うおばあちゃんと打ち解けて楽しそうに過ごしていました。

もう大学生ですし大人の対応もできるようになったから、というのもあるかもしれません。

娘たちは、子どもの頃よりおばあちゃんのことや私の実家のことがよく見える(わかる)と言っていました。

そして90を過ぎても一人暮らしをして畑仕事を日課にしている祖母を「すごい!」と尊敬し、おばあちゃんみたいに長生きしたいからと「おばあちゃん、毎日何食べているの?」などと聞いていました。

あと何年あるか、何度会えるかわかりませんが、娘たちにはおばあちゃんといい関係、いい思い出を作って欲しいなぁと思います。

ああ、おじいちゃんも生きていたら大人になった孫娘たちに会えたのになぁ、残念。

人は老いてお別れの日がやってくるということ

この絵本ではおじいちゃんと孫娘の楽しい日常と、やがてやってくる別れ(おじいちゃんの死)が描かれています。

この絵本の対象年齢は出版元のHPでも4、5歳からとなっていますが、その年ごろの多くの子どもにとって人が歳をとっていくこと、そして死ぬということはあまりピンとこないはず。

ですから読み聞かせをすると、絵本の終わりのほう、孫娘が一人でおじいちゃんの椅子を見つめている場面で、お子さんから「おじいちゃんはどこに行ったの?」と聞かれるかもしれません。

ここでパパやママが「老い」や「死」について一生懸命伝えようとしてもちゃんとは理解できないかもしれません。

でもなんとなくでも伝わればいいのではないでしょうか。

今まで一緒に楽しく過ごしていたおじいちゃんが、歳をとっていなくなったんだということが。

どこかへ行ってしまってもう二度と会うことができないんだということが。

ちなみに私の娘たちは年少から年長にかけて祖父二人のお葬式を経験しています。

その時は事前に私から聞いていたことや周りの様子などから、おじちゃんは亡くなったんだ、もう二度と会えないんだということは理解していたそうです。

この年ごろの子どもの老いや死への理解は、経験によって違いがでてきそうです。

独特の美しい絵と会話風の文章

まず表紙を見てください。おじいちゃんの後ろに乗りくっついている孫娘。

本当におじいちゃんのことが大好きなんですね。おじいちゃんも嬉しそうな表情をしています。

二人の仲の良さが伝わってきて、こちらまで幸せな気分になります。

ジョン・バーニンガムの絵は、一見下手かなぁ? 線が多く所々バランスが悪い?(←失礼)と感じさせる個性的な味がある絵。色も決して丁寧には塗っていないようにも見えます。

ですがこれがジョン・バーニンガムの絵。全体的に淡い色合いで、独特の世界が広がる美しい魅力的な絵です。

ページを開くと1見開きにその場面の文章が会話形式で書かれています。

その会話は時々ちょっとちぐはぐだったりしますが、これは1見開きの中に現実と想像の世界が表現されているから。

あまりない表現の仕方です。

そして文章は無駄のない短い文章。谷川俊太郎さんのまさに詩のような訳です。

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読み聞かせのポイント

・所要時間 約3分30秒

・おすすめ年齢 4、5歳から

・ストーリー性はあまりなく1見開きごとに違う場面になります。

子どもが文章を聞いて絵をしっかり見て理解できるように、ゆっくり読みすすめるのがおすすめ。

・最後の二つの場面は文章は無く子どもが想像する場面なので、たっぷり時間をとって見せましょう。

お別れから希望につながるとてもいい場面です。

絵本が閉じられた後、子どもはどんな気持ちになっているでしょうか?

おじいちゃんはどこに行ったのかとひたすら疑問に思う子、ぼんやりとどこか遠くに行っちゃったと感じている子、はっきりと亡くなったんだと理解してちょっと悲しい気持ちになっている子。

さらには自分のおじちゃんを思い出し、会いたいと思う子もいるかもしれません。

どんな気持ちもこの絵本に触れたから生まれたもの。大切にしてほしいです。

『おじいちゃん』の世界を、ぜひお子さんとご一緒にお楽しみください♪

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