どんな絵本?
表紙の大きなジャック・オー・ランタンが目を引く、ハロウィンの雰囲気を存分に楽しむことができる絵本です。
オレンジ色を基調にした鮮やかで華やかな絵。女の子二人の友情も描かれていてほっこり。ハロウィンの時期におすすめの絵本です。
作品紹介
作・絵 :小林ゆき子
出版社 :岩崎書店
版型 :A4変
ページ数:32ページ
発行年 :2008年
こんな方におすすめ
- ハロウィンの雰囲気が存分に楽しめる絵本をさがしている方
- おばけが出てくる絵本をさがしている方
- 友情が描かれている絵本をさがしている方
どんなおはなし?
ハロウィンの日、主人公のジーナは学校でハロウィン用のかぼちゃのランプを作ります。うまくできたと思っていたのに、先生がジーナの友だちのサリーのランプをほめたので、ジーナはおもしろくありません。
「いっしょにかえろう」とサリーに声をかけられても、意地になってランプ作りを続けるジーナ。
ひとりぼっちの帰り道、できあがったランプを持ってハロウィンのお菓子をもらいに家々を回りますが、時間が遅くて一個もお菓子はもらえません。
そんなとき魔女のかっこうをした女の子に出会います。
ジーナが女の子に誘われて、ハロウィン・パーティーが開かれているお城へ行ってみると、そこでは本物のおばけたちのパーティーが開かれていました。
おばけたちはガイコツのパズルゲームやゾンビをたおすボーリング大会で大盛り上がり。そんななかジーナの前に魔女の特製ケーキが持ってこられます。
ところがその特製ケーキはカエルやミミズで飾られたケーキ。ジーナは思わず「こんなの たべられないよー!!」と叫んでしまいます。
するとたいへん、ジーナが人間の子どもだと気づいたおばけたちがジーナを追いかけはじめます。
必死で逃げるジーナ。「だめー!つかまっちゃう」と思ったそのとき、暗闇にぱっと光がともりました。
その光に驚いて、おばけたちはあっというまに逃げていってしまいます。ジーナを助けてくれたのは、友だちのサリーのランプの光だったのです、、、
あさり目線
この絵本の一番のおすすめポイントは、ハロウィンの雰囲気を存分に楽しめる、というところです。
まず表紙の大きなジャック・オー・ランタンがとても目を引きますよね。ひとめでハロウィンんの絵本だとわかります。
また私はこの絵本を初めて見たとき、海外の絵本かな?と思いました。絵の雰囲気が海外っぽくないですか!?
見れば見るほど楽しめる絵本
この絵本はハロウィンの時期の読み聞かせにぴったりです。きっと子どもはドキドキワクワクしながらこの絵本を楽しむことができるでしょう。
でもこの絵本、読み聞かせだけで終わるにはもったいない絵本なんです。
なぜかというとこの絵本には、ハロウィンの日の様子がとても細かく描かれているから。
ですから私はぜひ子どもたちには、読み聞かせの後に自分でこの絵本を手に取って、ページをめくりながらもう一度楽しんでほしいなと思います。
飾り付けられた家々やお城でのおばけたちのハロウィンパーティー、ジーナとサリーが行く街のハロウィンパーティーなど、とても細かく描かれています。
「あっ、こんなところにもおばけが!」とか「こんなことして遊ぶんだ!」とか、いろいろ”発見”できます。
そのうえ日本とは違う本物のハロウィンを知ることもできたりします。
ちなみに最後のページには、ハロウィンの代表的な遊びのひとつだという「水を入れた桶にリンゴを浮かべて、手を使わずに口でくわえる遊び」が描かれています。
私はこんな遊びがあることを初めて知りました。
作者の小林ゆき子さんはあとがきで「この絵本の中には私なりにハロウィンんを楽しむアイディアをたくさんつめこみました。」と述べています。
その通りですね。
この絵本を読むとハロウィンって楽しそう!もっとハロウィンを楽しみたい!という気分になりますよ!
いじっぱりなジーナ、やさしすぎるサリー
ジーナは友だちが先生にほめられたことにへそを曲げて、居残りまでしてランプを作り続けます。よっぽどの負けず嫌いでいじっぱりなんですね。
その様子が、鼻息荒くせっせとランプを作っている顔で描かれていて、なんだかとても可愛いいんですよね。
ジーナは出来上がったランプを持って「トリック オア トリート」とお菓子をもらいに家々を回りますが、時間が遅すぎて一個もお菓子がもらえません。
がっかりするジーナ。そのうえ本物のおばけのパーティーへ行ってしまい、おばけに追いかけられ必死で逃げることに。
もうだめだと思ったその時、助けてくれたのは、、サリーのランプだったのです。
この時サリーはジーナにお菓子をわけてあげます。もしかしたらサリーはジーナのことが気になってジーナを探していたのかもしれません。サリー、、なんて優しい子なんでしょう。
ここでジーナはサリーに謝り二人は仲直りをして、一緒に行こうと約束していた街のハロウィンパーティーへ出かけて行きます。
負けず嫌いでいじっぱりなジーナとのんびりしていて心優しいサリー。
性格は違うけどきっとお互いのことが大好きな最高のペアですね!。
読み聞かせのポイント
- 所要時間 約6分
- おすすめ年齢 4歳頃から
この絵本のストーリーを大きく分けると次の3つの場面に分かれます。
- ジーナがへそを曲げるモヤモヤ場面
- おばけのパーティーのドキドキ場面
- 二人が仲直りするほっこり場面
読み聞かせをするまえに、この3つの場面があるということをなんとなくでも把握しておくといいと思います。
そうすると読み手の声に微妙な変化が生まれそれぞれの場面に合った雰囲気を作ることができます。
この絵本は、全ての場面で絵が細かく描かれていてすばらしいです。
子どもたちにゆっくり見せたいところですが、特におばけのパーティーのドキドキ場面は子どもたちにドキドキ感を味わってもらうために、少しスピードをあげて読んだほうがいいでしょう。
また読み聞かせのあとのお子さんの一人読みもおすすめです。
ページの隅々まで見ていろいろなおばけを見つけたり、ハロウィンパーティーに自分も参加しているような気分になって楽しむことができるからです。
この絵本はハロウィンの雰囲気を存分に楽しむのにぴったりの1冊です。
華やかなハロウィンをドキドキワクワク楽しみながら、女の子二人の友情にもほっこりする『ハロウィンのランプ』をぜひお子さんとご一緒にお楽しみください♪