どんな絵本?
でてくるのは色玉だけ。色玉たちがころころころころ、転がり続けます。
シンプルな絵と選び抜かれた言葉の美しさ、響きの心地よさを味わうことができる絵本です。
作品情報
作 :元永 定正
出版社 :福音館書店
サイズ :22×21㎝
ページ数:24ページ
発行年 :1984年
こんな方におすすめ
・2歳から楽しめる絵本をさがしている方
・ロングセラーの人気絵本をさがしている方
・言葉の響きが美しい絵本をさがしている方
どんなおはなし?
ある日色玉たちが転がり始めます。でこぼこ道、急な上り坂、時には落っこちたりしながらどんな道でも勇気をもって転がり進み続ける色玉たち。
そして最後に色玉たちがたどりつくのは意外な場所、、、
あさり目線
この絵本を初めて本屋さんで手に取った時「なんてシンプルなの!」と思ったものです。でてくるのは色玉たちと短い言葉だけ。
「子どもはどんな反応をするかな?」と読みきかせてみると、結構集中して聞いて「ころころころ」と声に出したりして一緒に楽しむことができました。
絵の力、ことばの力
この絵本は1984年に発行されて、今も売れ続けている人気のロングセラー絵本です。
実際本屋さんでは必ずと言っていいほど目にします。福音館書店のコーナーでは目立つ位置に置かれていたりします。
作者の元永定正さんは1922年生まれの画家で、モダンアートの世界でご活躍されていた方です。
ですからこの絵本の絵はまさにモダンアート。こんな雰囲気の絵本は少ないのではないでしょうか。
その絵についてですが、1ページ目、色玉たちが赤い平らな道を転がり始めます。
それから緑色の階段、暗闇の中の真っ白なでこぼこ道、時には青い海のような所に落っこちたり、さらには嵐のなかをと転がり続けます。
ページをめくるたび道の色と形状両方が変わりその上を色玉たち転がっていきます。
ですから小さな子どもでも「変化」を感じることができ、あきることがありません。
次に文章についてですが、きっぱりと短いことばで書かれていて日本語の美しさが際立っています。
この「ころころころ」だけで、小さな子どもでも色玉が転がっているんだなということは十分理解できるはず。
そして声に出して読んでみると「ころころころ」の響きがなんと心地よいことか。
きっと子どもと一緒に声に出して楽しむことができるでしょう。
ページをめくるたびに変わる道の色と形、「ころころころ」の繰り返しと心地よい響きが子どもの心をひきつけます。
まさにシンプルな「絵の力」と「ことばの力」です。
色玉たちと一緒に冒険
おはなしとしては色玉たちがただ転がり続けるだけですが、実はこの絵本はある意味「読者が色玉たちと一緒に大冒険を体験する」ことができる絵本でもあります。
色玉たちは最初軽い気持ちで出発したはずです。まさかあんなに険しい道が待っているとは夢にも思っていなかったでしょう。
赤く燃える道、真っ暗な雪のでこぼこ道、高い所からおっこちたり嵐にあったりとそれはもう大変。
ケガをしたり命を落とすことさえあるかもしれない危険な道のりです。
そんななかを色玉たちは、あきらめずひるまずたんたんと「ころころころ」「ころころころ」と転がっていきます。
その姿を見ていると思わず「がんばれ!」と応援したくなってしまいます。
そのうえ自分がまるで色玉になって冒険しているような気さえしてくるのです。
色玉たちがたどりつく場所
このおはなしの終わり方、いい意味で想像を裏切られます。
いったいどんなところにたどり着くのかと思いきや、最後に色玉たちがたどりついた場所は「ここなんだ!」となります。
ということは、これまで色玉たちが転がり続けた道のりは何だったの?冒険の夢だったの?
ほんのわずかな道だったとも思えるし長い長い険しい道だったとも思える、、深いです。
読み聞かせのポイント
文章が少ないのであっという間に読み終わります。
基本「ころころころ」ははっきり言いながら、ページをめくるたびに変わる道の状況にあわせて
・「ころころこ」の言い方に少し変化をつける 例えば嵐の道では苦しそうに、空の道では軽やかに、色玉たちが生きているかのように
・お子さんも「ころころころ」と言うならそのペースに合わせて一緒に楽しむ
といったころでしょうかでしょうか。
シンプルな絵とことばの美しさ響きの心地よさを味わい、色玉たちと冒険を体験することができる「ころころころ」の世界を、ぜひお子さんと一緒にお楽しみください♪